「ステンレスなのに錆びていて困る」「ステンレスを痛めない、錆の落とし方を知りたい」とお思いの方、必見です。
錆に強いステンレスですが、適切なケアを怠ると劣化してしまうことも。
今回の記事では赤錆・黒錆・孔食など症状別の対処法や、ステンレスが劣化する原因、予防法までを詳しく解説します。
100均で手に入る錆落としグッズや、錆を落とす際の注意点についても紹介するのでぜひご覧ください。
1.【症状別】ステンレスの錆落としはこうやる!対処法を解説
ステンレスに発生する錆は大きくわけて以下の3通りです。
- 赤錆
- 黒錆
- 孔食
それぞれの錆の特徴と対処法を解説します。
まずは家のステンレスに発生した錆がどれかを見極めましょう。
1-1. 赤錆を落とす方法
オレンジ色、赤茶色の錆を赤錆と言います。
比較的浅い層にでき、落としやすい部類の錆です。
軽度の赤錆は重曹やクエン酸を使って、優しく擦るだけで落とすことができます。
また、手元にない場合は歯磨き粉でも簡単に落とすことが可能です。
🗣️弱酸性の重曹は研磨しやすさ、酸性のクエン酸は錆の溶けやすさを高めてくれます。 |
やや進行している赤錆の場合は、以下の手順を試してみましょう。
- ぬるま湯100mlに対して小さじ1/2のクエン酸を投入し、溶かす
- キッチンペーパーなどに染み込ませる
- 錆に30分ほど被せる
-
キッチンペーパーを取って水洗いする
🗣️「色が濃い」「錆の範囲が広い」「触ったときにザラつく」などが当てはまれば、進行している赤錆が進行しているサインです。 |
赤錆は早めに対処すれば自分でも簡単に落とせるので、見つけたらすぐに落としましょう。
1-2. 黒錆を落とす方法
表面が黒っぽいまたは暗褐色に見える錆を黒錆と呼びます。
黒錆はかなり錆が進行した状態です。
落とす際には粉末タイプの重曹が効果的、水で濡らして軽く擦ったあとに錆へ直接かけましょう。
5分ほど放置したら、再度擦って水で洗い流します。
重曹で落ちない場合はクレンザーを試しましょう。
🗣️クレンザーは界面活性剤に研磨剤を加えたものです。界面活性剤には水と油など本来混ざらないものを混ぜ合わせる効果があり、汚れを落としやすくする効果があります。 |
ステンレスを傷つけにくいクリームタイプ・ペーストタイプがおすすめです。
スポンジや雑巾にクレンザーをつけて、円を描くように優しく擦りましょう。
1-3. 孔食を落とす方法
ステンレスに錆が点々とできている場合、孔食(こうしょく)が進んでいるかもしれません。
孔食はステンレスの表面に小さな穴が点々と生じる腐食です。
軽度であれば、クエン酸や重曹で落とせる可能性もあります。
それでも落ちない場合はヤスリなどを用いて削り落とす必要がありますが、周囲のステンレスも削れてしまうため注意が必要です。
また、腐食が奥深くまで進んでいる場合、どれだけ削っても錆は残ってしまいます。
キッチンやシンク自体を交換するか、プロの清掃業者に依頼することを検討しましょう。
1-4. 100均で購入できる錆落としグッズ
紹介した重曹やクエン酸、クレンザーは100円均一ショップでも購入可能です。
加えて、ステンレスを傷付けずに優しく擦ることのできる、メラミンスポンジも100円均一ショップで手に入ります。
「錆の手入れはしたいけどお金がかかりそう」「道具を揃えるのが面倒」とお思いの方はお近くの店舗を覗いてみましょう。
思っているよりも簡単にグッズが揃えられます。
2. 錆に強いはずのステンレスが劣化する原因
ステンレスは「錆に強い」ものの「錆ができない」わけではありません。
多くの場合、錆ができてしまう原因は以下の3つです。
- 別の金属から錆が移る(もらい錆)
- ステンレスに傷がある
- 塩素系漂白剤を使用している
原因を把握して、ステンレスを錆から守りましょう。
2-1. 別の金属から錆が移る(もらい錆)
ステンレスは錆びにくい素材として知られていますが、実は他の金属から錆が移る「もらい錆」という現象があります。
鉄製のフライパンや缶詰の空き缶などの錆びやすい金属をステンレスに長時間触れさせると、そこから錆が移ってしまう現象です。
つまりステンレス自体が錆びていなくても「ステンレスに触れている他の金属」が錆びているとステンレスも錆びてしまいます。
使った後のフライパンをそのままにしたり、料理に使った缶詰を放置しないように注意しましょう。
2-2. ステンレスに傷がある
ステンレスの傷がついている箇所から錆ができているかもしれません。
ステンレスには「不動態皮膜 」と呼ばれる薄いバリアがあり、このバリアが腐食から守ってくれています。
また、不動態皮膜 のバリアは1mmから3mmしかないため破れやすいものの、大気中の酸素と結びついて小さな傷を自動で修復する効果も。
しかし、この不動態皮膜 は繊細で、深い傷が付くとその部分から保護機能が失われ、腐食が進む可能性があります。
傷ができると、そこが弱点となり錆が発生しやすくなってしまうのです。
特に鋭利な金属製品でこすったり、硬いたわしで強くこすったりすると、目に見えない微細な傷が付くことがあります。
ステンレス製品を長持ちさせるためにも、表面に傷をつけないことを心がけましょう。
2-3. 塩素系漂白剤を使用している
洗浄効果が強く、水回りの掃除に便利なキッチンハイターなどの塩素系漂白剤。
多くの方が掃除に利用していますが、これが錆の原因になっているかもしれません。
塩素系漂白剤を原液のまま長時間接触させたり、使用後のすすぎが不十分だったりすると、ステンレスの保護膜が破壊され、錆の発生原因になってしまいます。
使用する場合はステンレスに長時間密着させないようにし、使用後は必ず流水でしっかりとすすいで、塩素成分を完全に取り除くことが重要です。
清潔にしようとして使った洗剤が逆にダメージを与えてしまいかねないので、適切に扱いましょう。
3. 錆を落とす際の注意点
いざ錆を落とす前に把握しておきたい注意点が以下の3つです。
- 強くこすりすぎない
- すすぎと拭き取りをしっかり行う
- 長時間のつけ置きをしない
せっかくのお手入れが、逆に錆を発生させかねないので注意しましょう。
3-1. 強くこすりすぎない
ステンレスの錆を落とそうと思うと、つい力を入れてゴシゴシと強く擦りたくなりますが、これは逆効果になることも。
強く擦って傷がつくと、そこから再び錆が発生しやすくなってしまうからです。
メラミンスポンジやナイロンたわしを使う際は、「やさしく」「一定方向」で擦りましょう。
特に鏡面仕上げやヘアライン仕上げなどの加工面は、繊細な表面処理がされているため、強くこすると目立つ傷がついてしまいます。
ぱっと見では錆が落ちたように見えても、長期的には傷から新たな錆が発生しかねないので強く擦るのは控えましょう。
3-2. すすぎと拭き取りをしっかり行う
錆落としに使用した重曹やクエン酸、クレンザーの成分が表面に残っていると、腐食の原因になる場合があります。
そのため使用後は水でよく洗い流し、乾いた布で水分を完全に拭き取りましょう。
洗剤成分を水で落としても、水分がステンレス表面に残っているとこちらも錆につながります。
洗剤と水分、どちらも残さないためにすすぎとふきとりはしっかりと行いましょう。
3-3. 長時間のつけ置きをしない
クエン酸や重曹パックによる錆落としは効果的ですが、「10〜15分以内」を目安にして、長時間の放置は避けるようにしましょう。
「長くつけておいた方が効果がありあそう」と思われがちですが、放置するとステンレスの光沢が失われたり、変色の原因になったりすることがあります。
特に高濃度の酸性洗剤(キッチンハイターなど)は短時間でも影響が大きいため、製品の使用説明をしっかり確認しておきましょう。
4. 普段から行える錆予防法
錆ができた後の対処法と同じくらい重要なのが、普段から行う錆予防です。
以下3つの予防法で、錆が発生しづらいステンレスを維持できます。
- 使用後はこまめに拭き取る
- フライパンなどはシンクに長時間置かない
- 防錆剤を使用する
各予防法の詳細を本章で解説します。
4-1. 使用後はこまめに拭き取る
ステンレスの錆を予防する上で最も心がけたいのが、こまめな水分の拭き取りです。
実はシンクや調理台に残る水滴が錆の原因になります。
料理後や食器洗いの後は、タオルやキッチンペーパーで軽く乾拭きする習慣をつけると、錆の発生を防ぐことが可能です。
🗣️水道水に含まれる微量の塩素やミネラルが錆を発生させやすくしてしまいます。また、水滴が残っていると、ステンレスを修復させるバリア「不動態皮膜」が十分な酸素を得られません。そのため、傷が修復できなかった箇所から錆が発生しやすくなってしまいます。 |
調理や洗い物といった家事を終えた後はゆっくりしたいところですが、一手間加えることで錆が予防しやすくなります。
4-2. フライパンなどはシンクに長時間置かない
錆のある鉄鍋・缶詰・フライパンをステンレスに長時間放置すると、知らず知らずのうちに錆が移る「もらい錆」が発生してしまうことがあります。
これらの道具は使用後すぐに洗い、水気をよく拭き取って収納するようにしましょう。
特に鉄製品は水分と接触すると早く錆びるため、ステンレス表面に接触させないよう注意が必要です。
「洗ったらすぐに拭いて片付ける」を心がけることで、ステンレスを長持ちさせることができます。
4-3. 防錆剤を使用する
錆の予防には市販の「ステンレス用コーティング剤」「防錆スプレー」などの防錆剤の使用が効果的です。
これらの製品はステンレス表面に保護膜を作り、水や酸素の接触を防ぐことができます。
🗣️似た商品が多いので「防錆効果」があるかパッケージや裏面をよく読んで確認しましょう。 |
プロの業者にコーティングを依頼する場合は1万〜2万円程度が目安になります。
初期投資は少し必要ですが、長い目で見るとステンレス製品の寿命を延ばすことができるので試してみましょう。
まとめ
ステンレスの錆が気になったら、まずは錆の種類を確認しましょう。
赤錆は比較的浅い層にできる錆で、重曹やクエン酸で優しく擦れば簡単に落とせます。
黒錆は進行した状態で、粉末タイプの重曹を水で濡らして直接かけ、5分ほど放置後に擦り洗いすると効果的です。
孔食は表面に小さな穴が点々とできる腐食で、軽度なら重曹やクエン酸で対応できますが、深刻な場合は業者依頼も検討しましょう。
錆ができた後の対策だけでなく、使用後のこまめな拭き取り、鉄製品の放置を避けることを心がけ、錆が出来にくい環境を作ることも大切です。