第1章:システムキッチンの耐用年数と寿命について
システムキッチンは、家庭内で最も頻繁に使用される場所の一つです。しかし、その寿命や耐用年数について正確に知っていますか?今回は、システムキッチンの寿命について掘り下げ、耐用年数が迫る前に知っておきたい重要なポイントを解説します。
1.1 キッチンの寿命とは?
キッチンの寿命は、使用頻度や手入れの仕方によって異なりますが、一般的には約10年から20年程度と言われています。
また、物理的寿命のほかに心理的寿命を迎えた場合も、取り換えやリフォームを検討しましょう。
○物理的寿命: 破損や動作不備など、使えないほど老朽化した場合を指します。
○心理的寿命: 気持ちの問題で、飽きたりワクワクしなくなった場合を指します。キッチンは毎日使う場所なので、気持ちのいいキッチンで過ごすことが大切です。
古い設備機器を修理しながら使うこともありますが、20年以上使ったキッチンの場合、一度に新しくすることがお得なことも多いです。
1.2 耐用年数が迫る前に知っておきたい兆候
・シンク:表面のくすみや汚れ、サビ、ヒビ、欠けなどが目立つ場合は、早急に手を打つ必要があります。 ただし、シンクは材質によって汚れの傾向や特徴が異なるため、把握しておくことが大切です。
ステンレスは一般的で耐久性があり、お手入れが簡単でサビにくい特徴を持ちます。また、鏡面仕上げやエンボス加工など、デザインのバリエーションも豊富です。耐熱性と強度が高く、汚れや匂いがつきにくく衛生的である反面、小さな傷がつきやすく、もらいサビが生じることや水はね音が大きいというデメリットもあります。
一方、人造大理石は天然大理石を元にした人工的な素材で、傷がつきにくく耐久性が高く、耐水性にも優れています。ただし、紫外線の影響で黄ばむことやもらいサビが生じる可能性がある、重いものを落とすと割れる可能性があるといったデメリットも存在します。
最後に、ホーローは鉄やアルミニウムにガラス質の釉薬を焼きつけた素材で、耐久性が高くお手入れも簡単です。しかし、重いものを落とすと割れる可能性があることや、傷ついたところからサビることがあるといったデメリットがあります。
・天板(ワークトップ・カウンター): 傷や凹み、変色、サビが出てきた場合は、手入れが必要です。キッチンの天板(ワークトップ)の耐用年数は、素材や使用方法によって異なりますが、以下の目安を参考にしてください:
>木造・合成樹脂造のもの:約15〜20年
>システムキッチン・流し台の法定耐用年数:約15年
天板の素材や使い方によっても寿命は変わります。例えば、人工大理石の天板は熱による変色や衝撃による亀裂が気になる場合、ステンレスの天板は引っ掻き傷や水あか、錆が気になる場合に交換を検討しましょう
・キャビネット: 扉や引き出しがガタついてきたり、底に水がたまり腐食がある場合は注意が必要です。キッチンのキャビネットの耐用年数は、一般的に金属製の場合は15年、それ以外の素材で作られたキャビネットは8年程度とされています。
・IHクッキングヒーター: スイッチONしても温まらない、温度調節ができないなどの不具合があれば、早めに対応が必要です。IHクッキングヒーターの寿命は、一般的に10~15年程度とされていますが、この期間はあくまで目安であり、使用頻度や手入れの状態によって異なります。IHクッキングヒーターの故障や寿命に気づくために、以下の症状をチェックしてみてください:
✔天板のガラス面にヒビや亀裂が入った、割れた、摩耗してきた:
天板は通常の調理で割れることはありませんが、注意が必要です。
✔お湯が沸きにくい、揚げ物機能が使えない:
これはIHヒーターの故障の兆候です。
✔ブレーカーがよく落ちる、モーター音が大きくなった、電源スイッチが入らない、温度調節ができない:
ボタンの故障や内部の問題が考えられます。
✔吹きこぼれが本体内部に入り込んでしまった:
これも故障のサインです。
・ガスコンロ: 火がつかない、ガス臭がするなどのトラブルがあれば、電池交換や掃除を試してみてください。ガスコンロの設計上の標準使用期間は10年と定められており、製品の実際の寿命は家庭ごとに異なります。製造から10年が経過したら、安心して使用するためにガスコンロの点検や買い替えを検討するタイミングです。耐用年数の目安として、10年を考慮しておきましょう。
ガスコンロの寿命が近づいてくると、経年劣化による不具合が発生することがあります。以下の5つの症状のどれか1つでも当てはまる場合は、点検や修理を検討してください。
①ガス臭い時がある: ガス臭さを感じるときは、ガス漏れによる重大事故につながる恐れがあります。すぐに使用を中止し窓を開けて換気し、点検を依頼しましょう。
②焦げ臭いにおいがする: 焦げ臭いにおいがする場合も、寿命が近い可能性があります。
③点火しづらい時がある: 点火の際に問題がある場合、寿命が迫っているかもしれません。
④スイッチやレバーの反応が不確実: 操作部分の不具合も寿命の兆候です。
⑤炎が赤い: 炎の色がいつもと違う場合、バーナーキャップの汚れやずれが原因かもしれません。
・レンジフード(換気扇): 電源が入らない、ファンの回転が不規則になるなどの不具合があれば、確認が必要です。キッチンのレンジフードの耐用年数は一般的に約10~15年と言われています。ただし、10年を超えたレンジフードは換気能力が低下していることもあるため、交換を検討することをおすすめします。正確なレンジフードの耐用年数を知りたい場合は、取扱説明書を確認すると現在使用しているレンジフードの正確な寿命が分かります。
・食器洗い乾燥機: 電源が入らない、異音・振動が発生する、洗浄や乾燥が不十分などの問題があれば、早めに対応しましょう。食洗機も型によって少し寿命が異なります。
①据え置き型の食洗機: 約5~7年。寿命を迎えると、給水ホースのゴムパッキンの劣化や水漏れが増加することがあります。修理費用は通常安く済みますが、交換できる部品がない場合は新しいものに買い替えることを検討しましょう。
②ビルトイン型の食洗機: 約10年。ビルトイン型も寿命が近づくと水漏れやモーター音の増加などのサインが現れます。部品交換が難しい場合は、新しい食洗機を検討しましょう。
・水栓: 水が漏れる、蛇口が回らない、本体がガタつくなどの不具合があれば注意が必要です。キッチン水栓の寿命は一般的におおよそ10年と言われています。水栓の寿命が近づいていると、部分修理をしてもすぐに他の箇所に不具合が出てしまう可能性があります。
また、キッチンの水栓は種類別に交換時期目安が異なります。
①単水栓: 構造が比較的シンプルで故障しにくいため、パッキンの交換を5年に1度行うことで15年以上使い続けることが可能
②2ハンドル混合水栓: 水とお湯をそれぞれハンドルで調整して温度を調節するタイプ。10年以上使えるケースも多い
③シングルレバー混合水栓: ひとつのレバーでお湯と水の切り替えを行うため、耐久性が劣って不具合が発生しやすいタイプ
第2章:キッチンリフォームのベストタイミングとは?
リフォームの最適な時期はいつ?
故障や経年劣化のほかにリフォームのきっかけは色々あります。
1.ライフスタイルの変化:
家族構成や生活習慣が変わった場合、キッチンの使い勝手や収納スペースが合わなくなることがあります。例えば、子供が成長して食事の回数や量が増えたり、家族が増えたりした場合、キッチンの改修を検討してみてください。
2.デザインやトレンドの変化:
キッチンのデザインやカラーパレットは時代とともに変化します。古くなったデザインや色味が気になる場合、リフォームを検討して新しいトレンドに合わせたキッチンにアップデートできます。
3.エネルギー効率の向上:
古いキッチンは断熱性やエネルギー効率が低いことがあります。新しいキッチンは断熱材やエネルギー効率の高い設備を導入できるため、光熱費の節約にもつながります。
4.故障や劣化の進行:
キッチンの設備や家電が故障したり、劣化が進行している場合、早めのリフォームを検討しましょう。特に水回りの設備は劣化が目立ちやすいです。
5.予算と計画:
リフォームには予算と計画が必要です。退職金やボーナス等の収入予定や定年退職などのライフスタイルの変化時期に合わせて、最適なタイミングを選んでください。
キッチンリフォームには2つのアプローチがあります:
①部分的な交換または修繕: 寿命の近づいた器具を交換したり、一部の修繕を行ったりします。これは簡単に交換可能な消耗品に適しています。
②キッチン全体のリフォーム: キッチン全体を改修することで、新しいシステムを導入したり、配置を変更したりできます。
部分的な交換では、劣化が目立たないうちに交換することが大切です。一方、キッチン全体のリフォームは、さまざまな変更が可能で、使いやすさを向上させることができます。キッチンリフォームのタイミングは、早めに交換を検討し始めることで、導入するものにこだわりを持つこともできますし、じっくり考えて決めることができます。
キッチンリフォームは生活の質を向上させるための重要なステップです。自分や家族のニーズを考慮しながら、最適なタイミングで改修を進めてくださいね!
第3章: キッチンリフォーム計画を立ててみよう
3.1 リフォーム計画のための前準備
【前準備1】ライフスタイルや家族構成からキッチンのイメージを膨らませる
まず、日々の生活を思い浮べて、キッチンをどう変えていきたいかイメージを膨らませましょう。各々に思い描くキッチンのカタチがあります。例えば、「子どもの様子を見守りながら料理をしたい」「家族みんなでワイワイ料理をつくりたい」などです。
具体的なイメージを描いておくことが、キッチンリフォームの第一歩です。
【前準備2】自分たちにぴったりのキッチンを見つける
キッチン選びは、レイアウトと型選びから始めましょう。
レイアウトのタイプは以下の3つです:
①クローズドタイプ: キッチンがリビングやダイニングから独立しているタイプ。調理のにおいや煙が他の部屋に広がりませんが、家族とのコミュニケーションが制限されることもあります。
②オープンタイプ: リビングやダイニングとキッチンが一体化しているタイプ。家族とのコミュニケーションが取りやすく、効率的な動線がありますが、調理のにおいや煙が他の部屋に広がることがあります。
③セミオープンタイプ: リビングやダイニングとキッチンをカウンターで仕切るタイプ。開放感がありながら、キッチンが丸見えにならない利点があります。
また、型の選択肢は以下の4つです:
①I型: コンロ・シンク・調理スペースを一列に配置。狭いスペースにも適しています。
②Ⅱ型: コンロ・シンク・調理スペースを二列に分け、並行に配置。作業効率が良く、二人でも使いやすいです。
③L型: コンロ・シンク・調理スペースをL字型に配置。広い調理スペースが取れますが、コーナーがデッドスペースになりやすいです。
④U型: コンロ・シンク・調理スペースをコ型に配置。広い調理スペースと充分な収納スペースがあります。
レイアウトと型を決めたら、キッチンの配置方法も考慮しましょう:
①壁付けキッチン:壁に向かって配置されるタイプで、一列にキッチンを並べます。そのメリットとしては、料理に集中できることや、ダイニングスペースを広く取れることが挙げられます。しかし、キッチンや冷蔵庫、食器棚などが他のエリアから丸見えになるという注意点があります。
②ペニンシュラキッチン:左右どちらか片側が壁に接する配置です。家族とのコミュニケーションを取りながら使えることや、カウンター部分をダイニングカウンターとして活用できるというメリットがあります。ただし、カウンター部分の幅を考慮して配置する必要があるという注意点があります。
③アイランドキッチン:キッチンの中央にアイランド(島)を配置します。そのメリットとしては、どの面からも使えることや、2人以上で作業ができることが挙げられます。しかし、ダイニングスペースが若干狭くなるという注意点があります。
3.2 リフォーム完了までのステップ
(1)具体的なプランの相談:
ショールームを訪れて、具体的なキッチンプランを相談しましょう。
情報収集で膨らませたイメージに専門家の意見を取り入れながら、理想のリフォームプランを考えます。
(2)現場調査・打ち合わせ:
リフォーム会社が現地を調査し、具体的な打ち合わせを行います。
(3)リフォームプランと予算の確認:
提示されたリフォームプランと見積もり金額を確認します。
(4)プラン決定・契約:
プランが決まったら契約を結びます。
(5)リフォーム工事の開始:
キッチンの解体や組み立て、内装工事などを進めます。
(6)完成・引渡し:
リフォーム工事が完了し、新しいキッチンが完成します。
第4章: まとめ
システムキッチンの耐用年数やリフォームのベストタイミング、そしてリフォーム計画の立て方について詳しく解説してきました。
キッチンは家庭で最も頻繁に使用される場所の一つであり、その寿命や耐用年数を正確に把握することは重要です。一般的には約10年から20年程度が寿命とされますが、物理的寿命だけでなく心理的寿命も考慮することが重要です。また、耐用年数が迫る前に兆候を把握し、早めの対策を取ることが大切です。
リフォームのベストタイミングは様々な要因によって異なりますが、ライフスタイルの変化やデザインの更新、エネルギー効率の向上などが挙げられます。キッチンリフォームには部分的な交換や全体のリフォームといったアプローチがあり、自身のニーズや予算に合わせて選択することが重要です。
リフォーム計画を立てる際には、まず自身のライフスタイルや家族構成を考慮し、理想のキッチンのイメージを膨らませることから始めます。その後、キッチンのレイアウトや型、配置方法を検討し、リフォーム会社との打ち合わせを重ねながら具体的なプランを練ります。そして、工事の開始から完成・引渡しまでをスムーズに進めることが成功のポイントです。
キッチンリフォームは生活の質を向上させるための重要なステップです。ぜひ、専門家との相談や計画立てを通じて、理想のキッチンを実現しましょう。
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