「TOTOのお風呂が注文できなくなったらしい」——2026年4月中旬、施工会社やリフォーム店にこうした問い合わせが殺到しました。
ただし「受注停止」はお風呂工事の全面ストップではありません。
TOTOは4月13日にユニットバスの新規受注を見合わせ、4月20日から段階的に再開しました。
止まったのは「特定の有機溶剤を使う一部部材の調達」であり、既に納期回答済みの注文は出荷が続いています。
※2026年5月28日更新
PHショップでは、ユニットバスの新規注文受付を順次再開しております。
納期等については、スタッフまでご確認ください。
1. ユニットバス受注停止の現状サマリー|2026年4月時点で何が起きているか

1−1. 「受注停止」と「工事不能」は別物|誤解されやすい3つの線引き
ユニットバスの受注停止とは、メーカーが「新規の注文受付」を一時的に止めることであり、生産・出荷・施工のすべてが止まるわけではありません。
現場では次の3つが混同されがちです。
- 新規受注の停止:メーカーが新しい注文を受け付けない状態。TOTOでは一部部材不足により受注システム上の処理が困難になったことが理由でした。
- 既回答分の出荷継続:すでに納期回答済みの注文は予定通り出荷される。
- 工事全面停止:現場の施工自体が止まる状態。今回はここまで至っていない。
混同すると不要な契約解除や過剰な駆け込み発注につながるため、冷静に切り分ける必要があるでしょう。
1−2. 影響を受ける読者タイプ別(戸建て新築・マンション改修・施主支給)のまとめ
- 戸建て新築の方:浴室搬入は後半工程のため、数カ月以内の再開なら影響は限定的。工務店への納期確認を最優先で。
- マンション改修の方:管理組合への工事届出や搬入経路の制約があり、メーカー変更は慎重に。詳細はマンションのお風呂・浴室リフォームについて費用・期間・注意点を解説!で解説しています。
- 施主支給を検討中の方:EC在庫と納期回答を早めに確認し、仕様確定前の複数仮押さえは控えてください。
2. 受注停止の時系列とメーカー6社の受注ステータス一覧|TOTO・LIXIL・パナソニック・クリナップ・タカラスタンダード・ハウステック

2−1. 4月10日〜4月20日の主要日付4点|公式発表ベースの年表
- 4月10日:TOTOが石油化学基礎原料の供給環境悪化を告知。同日LIXILも供給条件の調整可能性を発表。
- 4月13〜15日:TOTOが新規受注を一時停止。続いてクリナップ・パナソニック・ハウステックが対応を公表。
- 4月17日:赤澤亮正経済産業相が閣議後会見で、塗料用シンナーとTOTOを含む一部住宅設備について、サプライチェーンの目詰まり箇所を特定し、供給見通しのめどが立ったと説明。
- 4月20日:TOTOが段階的に新規受注を再開。
参考:TOTOのユニットバス受注停止はなぜ起きたのか(2026年4月18日)
2−2. TOTO(サザナ・SYNLA・WYシリーズ)の対応状況と公式情報の確認先
TOTOは4月20日から受注を段階的に再開し、部材が足りない商品は注文を受けつつ「納期未定」とする運用に切り替えました。
サザナ・SYNLA(シンラ)・WY(Wシリーズ)のいずれも再開対象ですが、色柄やオプションによっては納期未定が残ります。
最新情報はTOTO公式お知らせページで確認してください。
関連記事:TOTOユニットバスの評判と選び方:おすすめモデル紹介
2−3. LIXIL・パナソニックの「供給条件調整」の意味(価格・納期・数量)
LIXILは4月10日に「価格・納期・数量など供給条件を調整する可能性がある」と発表し、4月14日にユニットバスの納期を未定としました。4月21日から順次回答を再開しています。
パナソニック ハウジングソリューションズは4月14日、中東情勢の影響によるナフサ等一部素材の調達の不安定化を理由に、同日以降に受注したバス・トイレ関連商品の納期を未定とすると案内しました。
TOTOの停止で他社に注文が集中する「二次的な納期未定」が最も警戒すべきリスクです。仕様未確定の仮発注は業界全体の回復を遅らせるため控えてください。
関連記事:リクシルユニットバスの価格と工事費の全体像|コストの見積もりから施工まで
参考:LIXIL ニュースルーム(2026年4月10日)、パナソニック ハウジングソリューションズ お知らせ(2026年4月14日)
2−4. クリナップ・タカラスタンダード・ハウステックの受付見合わせと再開後の納期回答方針
クリナップは通常時を大幅に上回る注文を受け4月15日に新規受注を停止しましたが、生産・出荷体制が整い4月22日に再開しました。再開後も納品日ごとに受注量を確認し、集中時は納期調整を相談するとしています。
タカラスタンダードは受注を継続しており、供給条件の調整可能性を発表するにとどまっています。
ハウステックは4月15日以降、システムバス全般の納期回答を一時停止し、再開目途は各社問い合わせとなっています。
| メーカー | 対応内容 | 再開時期 |
|---|---|---|
| TOTO | 新規受注停止 | 4/20段階再開済み |
| LIXIL | 納期未定(受注継続) | 4/21順次回答再開 |
| パナソニック | 納期未定(バス・トイレ関連) | 順次回答中 |
| クリナップ | 新規受注停止 | 4/22受注再開済み |
| タカラスタンダード | 受注継続(条件調整の可能性) | 停止なし |
| ハウステック | 納期回答一時停止 | 再開時期は要確認 |
関連記事:【クリナップ】ユニットバスの価格をグレード別に解説!格安で購入できる方法も
3. なぜユニットバスが止まったのか|ナフサ・有機溶剤・特定部材の不足

3−1. 止まったのは「原料」ではなく「特定部材」|人大浴槽コーティング・鋼板パネル接着剤
赤澤亮正経済産業相は4月17日の閣議後会見で、TOTOは有機溶剤(ゆうきようざい=石油由来の液体で、ものを溶かしたり薄めたりする)を使用する浴槽の一部部材不足で受注を停止したと説明しました。
一方、経産省は供給の「総量不足」は否定し、受注システム上の制約や流通段階の目詰まりが背景にあったとの見解を示しています。
具体的に不足した部材は次の2つです。
- 鋼板パネルの接着剤:壁・天井に貼るフィルムの接着剤に有機溶剤が使われている
- 人工大理石浴槽のコーティング材:浴槽表面を滑らかに仕上げる材料に有機溶剤が必要
原料の総量不足ではなく、特定品目の流通・在庫の偏りが原因であった点を押さえておくと、今後の判断を見誤らずに済むでしょう。
3−2. 国の備蓄・代替輸入ルートの状況|「すぐ枯渇する」は誤読
「石油がなくなる」という不安が広がりましたが、備蓄と代替輸入の状況は以下の通りです。
| 指標 | 数値 | 出典・公表時期 |
|---|---|---|
| 石油備蓄合計 | 国内需要の200日分以上(IEA基準) | 資源エネルギー庁「石油備蓄の現況 令和8年2月」(令和7年12月末時点) |
| ナフサ由来化学製品の国内在庫 | 国内需要約4カ月分 | 経済産業省 2026年3月31日資料 |
| 中東以外からのナフサ輸入 | 月約45万kl→約90万klへ加速(4月30日資料では5月に約135万klまで拡大見込み) | 経済産業省 2026年3月31日資料・4月30日資料 |
ただしこれらの数字は石油・ナフサ全体の備蓄であり、ユニットバス用の接着剤や溶剤が即時届くことを保証するものではありません。総量の確保と特定部材の即時供給は別の問題であるため、過度な楽観も悲観も禁物と判断できます。
参考:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」、経済産業省 資料(2026年3月31日)、経済産業省 資料(2026年4月30日)
4. ユニットバス受注停止はいつまで?|再開=納期正常化ではない理由

4−1. 段階的再開のフェーズ|受注再開/納期回答再開/在庫平常化の3段階
「受注再開」のニュースだけで安心するのは早計です。正常化は3つのフェーズに分かれます。
- 受注再開:新規注文を受け付ける状態(TOTO 4/20、クリナップ 4/22)
- 納期回答再開:具体的な出荷日が確定する段階(LIXIL 4/21〜順次)
- 在庫平常化:通常の納期に戻る状態(各社とも5月以降に徐々に回復見込み)
受注再開から在庫平常化までにはタイムラグがあり、「いつ届くか」が確定しない期間が残る点に留意してください。
4−2. 再開後も残る制約|色柄・オプション・販売ルート別の差
PHショップで2026年4月下旬に確認した納期回答では、再開後も次のような制約が残っていました。
- 色柄の制約:有機溶剤を使うフィルム接着工程を経る壁パネルの一部色柄は回復が遅い
- オプション部材:人工大理石浴槽のコーティングが必要なグレードは納期未定が続きやすい
- 販売ルートの差:メーカー直接取引のルートと中小販売店経由では入荷スピードに差が出る
仕様だけでも先に確定させておくことが、納期短縮の現実的な近道です。
5. リフォーム・新築計画への具体的影響|工期パターン別の判断軸

5−1. 新築工事への影響|工程上ユニットバス搬入が遅れた場合の引渡しリスク
浴室設置は新築工程の後半にあたるため、着工直後なら数カ月の猶予が見込めます。
一方、上棟(じょうとう=建物の骨組みが完成する段階)を過ぎた現場では搬入遅延が引渡し日に直結するでしょう。
工務店との間で「搬入日が遅延した場合の工程変更協議」を早めに行うことが欠かせません。影響は住宅リフォームだけでなく、ホテル建設や賃貸改修の工期長期化にも及んでいるとの指摘もあります。
5−2. マンションの浴室リフォーム|管理規約・搬入経路・規格寸法の制約
マンションでメーカーを変更する場合、追加の確認項目が発生します。
- 管理組合への再承認:仕様変更には再申請が必要な管理規約がある
- 搬入経路:エレベーターや通路の幅は機種ごとに通過可能サイズが異なる
- 規格寸法:1216、1616等のサイズ表記はメーカー共通だが、実際の外寸には数mm〜数cmの差がある。排水位置や天井高との適合を現場で再確認すべきです
5−3. 高齢者・介護改修での優先順位|浴槽付き再開待ちより先にできる安全対策
高齢の方がいるご家庭では、ユニットバスの入替だけが選択肢ではないと考えます。
介護保険給付による住宅改修に関する研究では、トイレ・浴室・玄関での手すり設置が多く実施されており、改修後に要介護度の改善が報告された例もあります。
手すり設置・段差解消・滑り止め加工はユニットバス入替を待たずに実施でき、転倒リスクを軽減できるでしょう。
ベターリビングが2025年4月に新規制定した「シャワールームユニット」BL認定基準は、浴槽を使わない入浴による溺水事故防止を背景としたものです。
6. 納期未定で契約して大丈夫か|契約書・見積・キャンセル条件のチェックリスト

品薄時は「早く契約しないと順番を失う」と焦りがちですが、契約条件を確認せず署名すると予想外の負担が発生するリスクがあります。
6−1. 価格改定・資材高騰時に誰が負担するか|契約条文の確認ポイント
改正建設業法(令和6年法律第49号)では、資材価格変動時の請負代金等の変更方法が契約書の法定記載事項として明確化されました。
契約前に確認すべき項目は以下の3点です。
- 見積書の有効期限:通常2週間〜1カ月。期限切れで価格改定の対象になり得る
- 請負代金の変更条項(スライド条項):資材高騰時に誰がどの範囲で負担するかの明記
- 納期未定時の扱い:納期未確定の場合に違約金や追加費用がどう発生するかの記載
住宅相談統計年報2025(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)のリフォーム見積チェックサービスでは、「単価や合計金額は適正か」が9割以上、「工事内容や工事項目は適切か」が8割以上と、見積妥当性への関心が極めて高い状況です。
6−2. 着工延期・キャンセル時の違約金リスクと交渉余地
改正建設業法では、資材不足が実際に発生した場合、注文者に工期・代金変更の協議を申し出ることが可能です。注文者はその申出に誠実に応じる努力義務を負います。
「資材が届かないから着工できない」場合に一方的なキャンセル料請求は、改正法の趣旨に沿わない可能性があるでしょう。
7. 代替メーカーへ切り替える前に確認すべき落とし穴とFRP素材論点

「TOTOが無理なら他社にすればいい」は一見合理的ですが、切替で失敗する事例はPHショップの累計500件超の工事対応でも少なくありません。
7−1. JIS A 4416・BL認定など規格適合の確認
ユニットバスにはJIS A 4416(住宅用浴室ユニットの規格)とベターリビングのBL認定(優良住宅部品の認定)があります。
マンションの長期修繕計画や住宅性能表示で特定のBL認定品を前提にしている場合、認定外の製品への変更で保証対象外となる恐れがあるため事前確認が必須です。
7−2. 寸法・排水位置・梁加工|施工現場での再確認項目
- 外寸の差:同じ「1616サイズ」でもメーカーごとに数mm〜数cm異なる
- 排水位置:既存配管と合わなければ床下の配管工事が追加発生する
- 梁加工:天井や壁の梁をよける加工寸法は新メーカーで必ず現場採寸が必要
- 石綿の事前調査:厚生労働省の石綿総合情報ポータルが案内する通り、改修時は石綿含有の有無を調査し必要な措置を講じる義務がある
7−3. 注文集中による二次的な納期未定リスク
TOTOの停止でLIXIL・パナソニックには通常の数倍の注文が集中し、「納期未定」の回答が広がりました。
仕様確定前に複数メーカー・複数ルートで仮押さえを入れる行為は「仮需(かりじゅ)」を生み、業界全体の回復を遅らせます。
施主の立場でも、仕様を1つに確定してから注文するのが供給正常化への近道と考えます。
7−4. 品薄不安につけ込む訪問販売・点検商法・前払い要求への注意
国民生活センターのPIO-NETデータによると、訪問販売によるリフォーム工事や点検商法の相談は毎年多数寄せられており、高水準が続いています。
- 「今すぐ契約しないと在庫がなくなる」と急かす業者には応じない
- 工事代金の全額前払いを求められたら契約しない
- 不安を感じたら消費者ホットライン(局番なし188)に相談する
参考:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」
8. ユニットバス受注停止に関するよくある質問(FAQ)
8−1. ユニットバスの受注停止はいつまで続きますか?
TOTO・LIXIL・クリナップの主要3社は2026年4月下旬までに受注を再開済みです。ただし受注再開と在庫平常化は別フェーズであり、色柄やオプションによっては納期未定が継続しています。詳しくは第4章の3段階フェーズをご覧ください。
8−2. 受注停止中にユニットバスを交換しないとどうなりますか?
ユニットバスの寿命は一般的に10〜15年です。この期間を超えるとコーキング劣化による漏水や下地の腐食が進行し得るため、緊急性が高い場合は部分補修や防水処理で応急対応する判断もあり得ます。
関連記事:ユニットバスの寿命は10~15年!法的な耐用年数やリフォームが必要なサインも解説
8−3. 新築工事はユニットバス受注停止でどうなりますか?
浴室搬入は新築工程の後半にあたり、着工直後なら影響が出ない場合もあります。上棟後の現場では引渡し遅延のリスクがあるため、工務店との工程変更協議を早期に行ってください。
8−4. すでに契約済みの場合、価格改定やキャンセルは可能ですか?
改正建設業法では、資材不足が発生した場合に工期・請負代金の変更協議を申し出る制度が設けられました。契約書のスライド条項と合わせ、施工会社に協議を求めることが可能です。
8−5. LIXIL(リクシル)も受注停止していますか?
LIXILは受注自体は止めておらず、「供給条件の調整」として納期・価格・数量を調整する方針です。4月21日から順次納期回答を再開しており、完全な停止とは異なる対応を取っています。
8−6. TOTOの受注停止の公式情報はどこで確認できますか?
TOTO公式お知らせページで最新の供給状況が随時更新されています。販売店やSNSの二次情報ではなく、公式リリースを一次情報として確認する習慣をつけてください。
9. まとめ|受注停止下でも損しないための判断軸と次アクション
今すぐ確認・実行すべき項目をチェックリストにまとめます。
- 発注済みの商品が「納期回答済み」かどうかを施工会社に確認する
- 未発注の場合、仕様を確定してから1ルートで正式注文する
- 契約書にスライド条項(価格変動時の代金変更方法)が明記されているか確認する
- 代替メーカーへの切替は、JIS・BL適合・寸法・排水位置を現場で再確認してから判断する
- 介護改修は手すり・段差解消を先行し、シャワールームユニットも選択肢に入れる
- 品薄不安につけ込む訪問販売・前払い要求には応じず、消費者ホットライン(188)を活用する
- TOTO公式お知らせページ・各メーカー公式サイトで最新情報を定期確認する
見積や商品選定で判断に迷う場合は、業界歴15年以上のベテランスタッフが在籍するPHショップの商品選定・お見積もりサービスもご活用ください。

